【2023年奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第6弾】レポートvol.4 ~最終プレゼンテーション~
奈良女子大学の学生さんに新築マンションの内装デザインを手がけていただく『地域創生プロジェクト』第6弾。
レポート第4回目の今回は、いよいよ固まった内装コンセプトについて学生さんに発表していただく最終プレゼンテーションの模様をお伝えいたします。
『地域創生プロジェクト』第6弾とは?今回までの流れ
学生さんならではの目線での学生さんのためのお部屋づくり――奈良市内の中心部に来年2024年2月末完成予定の学生向けマンション。
その1K全9室の内装を、奈良女子大学の生活環境学部住環境学科の学生さん達にデザインしていただこうという一大企画、それが『奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト』第6弾です。
過去3回のレポートでは、初顔合わせの模様・全面協力いただいている積水ハウスさんのオフィス訪問の模様・建具コンセプトプレゼンの模様をそれぞれお伝えしてきました。
タイトなスケジュールながら、奈良女子大学の皆さんは熱のこもった積極的な姿勢で、「これはいいお部屋になる」と早くから予感ができる斬新なコンセプトを着々と形にしていってくださいました。
そして先日ついに、出来あがった内装コンセプトについて発表をしていただきました。
非常に充実したプレゼンテーションとなったその場の模様をレポートにまとめましたので、ぜひご覧ください。
プレゼン①まずは全体コンセプトをおさらい
奈良女子大学の学生さんらと先生、積水ハウスの設計担当さんと営業担当さん、そして私たち『賃貸のマサキ』スタッフという顔ぶれがふたたび一室に集まりました。
これまで何度も顔を合わせ密に連絡を取り合ってきたメンバーではありますが、この日のプレゼンテーションはとくに重要な局面とあって、私たちも含めていつも以上に緊張感が漂っているように感じました。
「今回は前回の建具やコンセプトの提案に引き続いて、室内のクロス等を含めた全体案のプレゼンになります。よろしくお願いします」
そんななか、ひとりの学生さんの落ち着いたトーンの声で、プレゼンが始まりました。
まずは前回のプレゼンで発表していただいた全体コンセプトのおさらいから。
『ここから始まる大学生活! 何色の4年間にする?』――学生向けのマンション、それも奈良女子大学のそばということで、奈良女子大学で学生生活をスタートさせる新入生のために、新生活に際して自分色を選んでもらうことをコンセプトとしたそうです。
具体的には、1階は「イエロー」、2階は「ブルー」、3階は「ピンク」とフロアごとに3種のテーマカラーを設定し、さらに各フロア3部屋ずつあるうちの1号室は「落ち着き感」、2号室は「中間色」、3号室は「明るめ」と3種の基本カラーも設定。
3種のテーマカラー×3種の基本カラーで計9タイプのお部屋を作るという発想です。
前回初めてこのコンセプトを聞かせていただいた時は、斬新なアイデアに本当に驚かされました。
そして、
「一つ一つがカラーパレットの一部のように住む人の生活を彩ります。現役の奈良女生の目線で『住みたい部屋』をご提案します」
今回学生さんに用意していただいた資料の文言にも、自分達の打ち出したコンセプトへの頼もしい自信があらわれているように感じました。
プレゼン②カームグレージュ班(落ち着き感)のアイデアは…
全体コンセプトのおさらいが終わり、いよいよ各お部屋のアイデアの発表です。
「落ち着き感」「中間色」「明るめ」という基本カラーごとに3つの班に分かれてそれぞれイエロー・ブルー・ピンクのお部屋のデザインを考えていかれたそうで、ここからは班ごとにプレゼンをしていただきました。
ちなみに各班は、おのおのチョイスした建具と床のバリエーション名から取って「カームグレージュ班」「カフェナチュラル班」「ホワイト班」と名づけられています。
最初は「落ち着き感」のカームグレージュ班(101号室、201号室、301号室)から。
手元の資料を見ながら発表にしっかりと耳を傾けて――この班に限らずですが、配られた資料には各お部屋のアピールポイントが分かりやすくイメージ図つきで説明されており、すごく分かりやすかったです。
どこに何を配置するかの施工図も記載された優れものでした。
①カームグレージュ班共通の特徴
カームグレージュ班担当のお部屋のアイデアは、共通の特徴として、
・ベッドから起き上がってすぐ目に入る位置にテーマカラーに沿ったアクセントクロス。一日の始まりから気分が上がるように。
・居室部分に2種類のアクセントクロス。柄物と無地のものを組み合わせることで、めりはりのあるお部屋に。
・化粧幕板をベッド側の壁に配置し、高さを低めに設定。ベッドに座った時に幕板に飾った本などを取りやすいように。色は3部屋ともグロスホワイト。
・クローゼットと物入れにもテーマカラーのアクセントクロスを使用。普段の生活では見えないところだが、日常生活をより楽しいものにしていただけるように。
・マルチペグボードをキッチンカウンターの反対の壁面に配置。フックでキッチン用品を掛けられるように。色はテーマカラーに合ったものを採用。
・トイレは清潔感のあるタイル調のアクセントクロスを使用。テーマカラーに合うものをチョイスし、さらに他のテーマカラーのお部屋とも雰囲気を統一。
・玄関ミラーは、出かける前に身だしなみを確認しやすい位置に。
以上のような工夫が凝らされています。
クローゼットのアクセントクロスなど、細かいところにも技ありという感じですね。
②101号室 落ち着き×元気をチャージするYellowのお部屋
イエローがテーマカラーの101号室は、「じんわり元気をチャージするお部屋」がコンセプト。
ラメ入りの大人っぽい黄色のクロスと、温かみのある黄色のクロス。2種類のアクセントクロスを居室に使用して、元気の出る雰囲気が演出されています。
③201号室 落ち着き×すっきりとしたBlueのお部屋
ブルーがテーマカラーの201号室は、「すっきりとした気分になれるお部屋」がコンセプト。
居室の2種類のアクセントクロスは、クールになりすぎることなく爽やかさを感じさせる青色のクロスと、お花をあしらったかわいいクロスの組み合わせ。ただし柄物×無地の配置が101号室(イエロー)や301号室(ピンク)とは反対になっています。
これは、キッチン扉の色(アンティミントグリーン)とのバランスを考慮してのことだそうです。
④301号室 落ち着き×まったり気分になれるPinkのお部屋
ピンクがテーマカラーの301号室は、「まったり気分になれるお部屋」がコンセプト。
居室のアクセントクロスは、やさしいベージュのお花柄と、大人かわいい落ち着いたピンクの組み合わせです。
ともすれば派手な印象になりがちなピンクを、うまく落ち着き感のなかに組みこめているのが見事でした。
プレゼン③カフェナチュラル班(中間色)のアイデアは…
続いては、「中間色」のカフェナチュラル班(102号室、202号室、302号室)のターンでした。
①カフェナチュラル班共通の特徴
カフェナチュラル班担当のお部屋は、3部屋ともキッチン扉や建具などは落ち着いた木目調で統一されています。
その代わりにアクセントクロスには少し明るく派手なものを採用し、カフェ風のお部屋を目指したそうです。
それぞれのお部屋に「パン屋さん」や「コーヒーショップ」といった具体的なイメージを設定し、それに沿ったアクセントクロスが選ばれているのも大きな特徴です。
自宅となるお部屋のデザインにあえてちょっぴり日常から離れた要素を取り入れるという挑戦心、わくわくさせてくれますね。
②102号室 ナチュラルなパン屋さん×yellow
イエローがテーマカラーの102号室は、パン屋さんをイメージ。
ホワイトのクロスをベースに、イエローの花柄のアクセントクロスを用いることで明るくナチュラルな雰囲気を演出。全体としてくすみカラーや淡い色でまとめ、木目調やホワイト系の家具に合うお洒落なお部屋を目指したそうです。
居室の天井にも、壁面とはまた別のアクセントクロスが用いられています。
また、アクセントクロスを貼った居室の一番大きな壁面にグロスホワイトの化粧幕板を設置。すぐ下にカラーボックスやデスクを置いても邪魔にならず、なおかつ手の届きやすく目線的にもちょうどよい高さを考えたとのこと。
トイレにはペンペン草の柄が入った黄色のアクセントクロスを用いて、清潔感とかわいさをプラスしたそうです。
③202号室 カジュアルモダンなコーヒーショップ×blue
ブルーがテーマカラーの202号室は、コーヒーショップをイメージ。
濃いブルーのアクセントクロスを居室南側の大きな壁面に持ってきてカジュアルで都会的な印象を演出。シンプルなデザインのインテリアやアイアン家具との相性が意識されています。
あまりちょこちょこクロスを使っては日常的な印象になってしまうため、大胆に取り入れることで「カフェ風」というイメージに基づくようにしたとのことです。
また、居室南側の壁面には102号室と同様にグロスホワイトの化粧幕板を設置。濃いブルーの壁のアクセントになるカラーリングにしたとのことです。
トイレにはブルーのタイル殻のアクセントクロスを使用して、居室とは異なる少しかわいらしい雰囲気を演出。玄関にも明るい水色のアクセントクロスをあしらい、家に帰った時にまずそれが目に入ることで気分が上がるようにと工夫されたそうです。
④302号室 キュートなお菓子屋さん×pink
ピンクがテーマカラーの302号室は、お菓子屋さんをイメージ。
「ポップ」「キュート」をキーワードに、天井にボーダーのアクセントクロスを用いたり、化粧幕板がわりにホワイトとピンクの2色のマルチペグボードを用いたり。102号室や202号室とも違うガーリーな雰囲気で、ホワイト系のインテリアと相性ばっちりなデザインです。
居室の壁にはアクセントクロスは入っていませんが、これはお部屋に落ち着きを持たせるためと、ピンクのボードを目立たせるためとのこと。天井のアクセントクロスはお部屋の長手方向にボーダーのラインが流れるようにして、空間の奥行きを感じられるような視覚効果を狙うなど、小技も効いています。
トイレは大きめの花柄のクロスでかわいさを強調。玄関脇にはドット柄で淡いベージュピンクのアクセントクロスを使い、お部屋に入ってすぐかわいらしい印象が始まるよう工夫されたそうです。
プレゼン④ホワイト班(明るめ)のアイデアは…
最後は「明るめ」のホワイト班(103号室、203号室、303号室)の発表でした。
①ホワイト班共通の特徴
まず、ホワイト班のお部屋共通の特徴としては以下の通りです。
・他の班に比べて少し狭めのお部屋なので、明るい建具で広さを感じてもらいたいということでホワイト系の建具を採用。
・一番のこだわりとして、玄関入ったすぐの壁にマルチペグボードを配置。目線の高さに設置し、実用的に鍵の置き場にするもよし自分らしさを演出するために好きな絵葉書などを飾るもよし、色々な使い方ができるようにした。
・玄関からキッチンにかけての天井に花柄のアクセントクロスを採用。玄関のマルチペグボードと合わせて、外から帰ってきてすぐ「自分のお部屋、かわいいな」と思えるような空間づくりを目指した。
・外出前に身だしなみを確認できるよう、玄関に入ってすぐ左側の位置に姿見を配置。
・化粧幕板は居室の端のほうに設置。色々なものを飾ってインテリアにこだわれる一方で、何も置かなくてもお部屋の雰囲気を邪魔しない配置に。
入居される方がどう感じられるか、入居される方にどう感じていただきたいか。そういう視点をしっかりと定めてデザインされているのが素晴らしいですね。
②103号室 元気なゆるふわイエローのお部屋
イエローがテーマカラーの103号室は、「元気なゆるふわ」がコンセプト。
居室の一番大きな壁一面に貼られた明るい黄色のアクセントクロスが目を引きます。 建具も含めて全体的にホワイトで色味がないので、居室のアクセントクロスできちんとテーマカラーの色味やかわいらしさを感じられるようにと考えられたそうです。
ホワイト班のお部屋のこだわりである玄関のマルチペグボードはグレーを採用し、すぐ奥にあるキッチンの扉の色と合わせたとのこと。玄関からキッチンにかけての天井のアクセントクロスは、派手過ぎずかわいらしいペンペン草が使用されています。
トイレに入ってすぐ正面に目に入る壁には、黄色系で大きめの花柄のアクセントクロスを使用。かわいらしく、かつ少し大人っぽいお上品な雰囲気と清潔感を目指したとのことです。
③203号室 涼しげゆるふわブルーのお部屋
ブルーがテーマカラーの203号室は、「涼しげゆるふわ」がコンセプト。
お部屋のアクセントクロスの位置は103号室と同じですが、色が大きな違いとなっているようです。玄関のマルチペグボードとキッチン扉はテーマカラーに合わせたブルーを使用、天井のアクセントクロスは103号室と同じ柄の色違いとなっています。
居室のアクセントクロスは少し薄めのブルー。涼しげでゆっくりと過ごせるような空間を目指したそうです。 一方でトイレのクロスは濃いめのブルーを採用。空間のアクセントとなるようにと考えて変化を持たせたとのことです。
④303号室 甘めゆるふわピンクのお部屋
ピンクがテーマカラーの303号室は、「甘めゆるふわ」がコンセプト。
203号室と同じように玄関のペグボードとキッチン扉には、テーマカラーであるピンク色が採用されています。
居室のアクセントクロスも203号室と同じく少し薄めの色。大きな壁一面に貼られた明るいピンク色のクロスが、お部屋にも明るい印象をもたらしています。
トイレのアクセントクロスは柄の入ったピンクベージュで、清潔感を演出したそうです。
プレゼン⑤質疑応答タイム&総評
「すごいね」
学生さんのプレゼンが終了して。弊社スタッフ木原がぽつりと発した一言。
その一言がまさにすべてを言い表しているような、圧巻のプレゼンでした。
質疑応答タイムということで、積水ハウスの設計担当さんからは化粧幕板の高さについてや、資料に記載のなかった部分など、いくつか具体的な点についてのヒアリングがありました。学生の皆さんの意図を正確に把握して、実現させようとしてくださっているのを改めて感じた場面です。
「すごい女の子目線で考えられていて、普段の私の業務のなかでそこまで考えられない部分もあったりするのですごく素敵だなと思いました。ありがとうございます」
設計担当さんからは、そのようなお言葉もいただきました。
続いて積水ハウスの営業担当さんからも、
「本当にすごいなっていうのが率直な意見で」
というお言葉。
積水ハウスさんが現在取り組んでおられる、「どんな方が住むか」というのを今まで以上に深掘りしたお部屋づくりと、今回の学生さんのプレゼン内容が合致している点について、とても感心された様子でお褒めいただきました。
あとは弊社から、今回プレゼンして頂いたアイデアと資料をマンションのオーナー様にお伝えして、その結果がどうなるか。
こればかりは我々にも分かりませんが、学生さんのアイデアが出来うる限り現実の形となるよう、オーナー様には誠心誠意お話をさせていただきます。
「もっとほんまはあーやこーやと議論しようかなと思ったんですけど、『ありがとうございます』しか出てこうへんので……」
弊社木原の言葉どおり、「言うことなし」の素晴らしい内容となった一日でした。
皆さん、今回もお疲れ様でした!
第5回レポートもお楽しみに!
いかがでしたでしょうか。
学生の皆さんの驚くようなアイデアに、わくわくしていただけたのではないでしょうか。
もちろん奇抜さや斬新さだけではありません。隅々までとても具体的かつ細やかに、「住みたくなるお部屋」「生活が楽しくなるお部屋」という視点から真剣に考えられたデザイン案であると感じられました。
現時点ではまだ「すべてこの案で決定」という段階ではないものの、来年2月末にマンションが完成するのが今から待ち遠しいですね。
それではまた、次回のレポートにご期待ください。
【2023年奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第6弾】記事一覧
【2023年奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第6弾】レポートvol.1 ~顔合わせ~
【2023年奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第6弾】レポートvol.2 ~積水ハウス オフィス訪問~
【2023年奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第6弾】レポートvol.3 ~初回プレゼンテーション~
【2023年奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第6弾】レポートvol.4 ~最終プレゼンテーション~
【2023年奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第6弾】レポートvol.5 ~最終報告会~
【2023年奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第6弾】レポートvol.6 ~現地内覧会~
「奈良女子大学×賃貸のマサキ」地域創生プロジェクトまとめ
【2017年】「大人カワイイお部屋への華麗なる変身!メディアも注目したプロジェクト!?」

>>詳細はコチラ
【2018年】「2018年の夏も学生のためのお部屋プロジェクト、始動します!」

>>詳細はコチラ
【2019年】「令和もやります!学生のための学生によるお部屋プロジェクト始動!」

>>詳細はコチラ
【2021年】「奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第4弾~こだわりの新築デザイン~」

>>詳細はコチラ
【2022年】「奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第5弾~新築マンションプロデュース~

>>詳細はコチラ
【2024年】「奈良女子大学×賃貸のマサキ 地域創生プロジェクト第7弾~マンション1室をリノベーション~」

>>詳細はコチラ
関連記事
【2017年天理大学編】「疲れをリセットできる部屋づくり~学生のためのお部屋作りプロジェクト」

>>詳細はコチラ