2022年天理大学・学生が考え学生が作る学生のためのお部屋プロジェクト第5弾【3】SDGs勉強会
2022年の「天理大学・学生が考え学生が作る学生のためのお部屋プロジェクト」のテーマが「持続可能な部屋」となりました。
この「持続可能な」は最近テレビや新聞でも取り上げられ、話題となっている「SDGs(持続可能な開発目標)」が根拠となっています。
そこで、「持続可能なお部屋」を考えるには、まず「SDGs」について学ぶことが重要ではないかと考えました。
今回は天理大学のインターンシップでいつもお世話になっている人間関係学科生涯教育専攻の谷口先生に、「SDGs」について授業をしていただくことになりました。
「学生が考え学生が作る学生のためのお部屋プロジェクト」おさらい
このプロジェクトについて軽くおさらいします。
「天理大学×賃貸のマサキ 学生が考え学生が作る学生のためのお部屋プロジェクト」は天理大学のインターンシップの一環として行われているプロジェクトです。
このプロジェクトでは例年、あるテーマを出しています。
そのテーマに沿いつつ「どんなお部屋に住みたいか」について学生さんに考えていただき、既存の物件をリニューアルし、学生さんたちが住みたくなるお部屋を作ります。
2022年のテーマは「持続可能なお部屋」ということで今回、SDGsについて勉強会をおこなうこととなりました。
これまで、「SDGsって何?」とお思いだった方も、そうでない方も今一度、「SDGs(持続可能な開発目標)」について学んでみませんか。
今回の勉強会には、インターンシップの学生さん2名と賃貸のマサキよりスタッフ3名が参加しました。
一般的に耳にする「SDGs」は、環境問題やジェンダーに関することが多かったように思いますが、実はもっと大きな意味があると言うことがわかりました。
SDGsとはズバリ何?
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でより良い社会の実現を目指す、世界共通の目標として掲げられました。
きっかけは2015年の国連サミット(通称:持続可能な開発サミット)で合意された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられたことからです。
この時のサミットで「国際社会と各国政府が、今後15年間の繁栄と福祉の共有を促進する」とし、2030年を達成年度と定めました。
「SDGs」は17の目標と169のターゲットから構成されています。
SDGs(持続可能な開発目標)
目標1【貧困】あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
目標2【飢餓】飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
目標3【保健】あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
目標4【教育】すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5【ジェンダー】ジェンダー(※1)の平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
目標6【水・衛生】すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
目標7【エネルギー】すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8【経済成長と雇用】すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(※2)を推進する
目標9【インフラ、産業化、イノベーション】レジリエント(※3)なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
目標10【不平等】国内および国家間の不平等を是正する
目標11【接続可能な都市】都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
目標12【接続可能な消費と生産】持続可能な消費と生産のパターンを確保する
目標13【気候変動】気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
目標14【海洋資源】海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
目標15【陸上資源】陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
目標16【平和】持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
目標17【常套手段】持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップ(※4)を活性化する
(※1)ジェンダー…社会的・文化的につくられる性差別のこと。
(※2)ディーセント・ワーク…働きがいのある人間らしい仕事のこと。
(※3)レジリエント…強靭な
(※4) グローバル・パートナーシップ…地球規模で世界各国手に手を取っての協力関係
参考:国際連合広報センター(持続可能な開発サミット: 人々と地球のために、私たちの世界を転換させよう)
17の目標のうち、どの目標がどこまで達成できているかを確認するためには、169のターゲットが重要になってきます。詳細は外務省の公式サイトで解説されています。
“地球が危ない”が「SDGs」のはじまりだった
谷口先生は以前から環境問題について関心があり、このままでは地球が危ないと真剣に思い、1997年に京都で開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)(京都議定書が採択された時の国際会議です)をきっかけに勉強しようと思い始めたとのことです。
当時、環境問題についてきちんと取り組まないといけないと思い、苦手ながらも理系に行こうと真剣に考えていたとのこと。
でも、環境に関する関わり方は商品開発などの視点から文系でも関与することができるのではないかと思い、現在専攻されている経営学を選んだ、とお話してくださいました。
これまで世界は、技術革新・産業革新に向け、邁進(まいしん)してきましたが、それによる環境破壊で、さまざまな気候変動が起こりました。
この状態のまま開発を続けていけば、地球が潰れてしまうと言う危機感を世界が共有し始めたのが20年前ぐらいの話でした。
でも、技術革新も進めていかなければいけないし、環境を守ると言うこともしていかなければならないですよね。
そこで出てきたキーワードがサスティナビリティです。
サスティナビリティとは「持続可能性」のことであり、「sustain(持続する、保つ)」と「-able(~できる)」を組み合わせた言葉です。
また、先進国の技術革新が進むにつれ、発展途上国にしわ寄せが寄っていると言う現実もあります。
例えば、この授業の時谷口先生が例としてだしてくださったのはパキスタンの氷河の話です。
異常高温のため氷河湖が決壊したニュースは記憶に新しいところ。
パキスタンの人々は地球温暖化について、「自分たちは何もしていないのに、先進国のやったことで、自分たちがなぜこんな目にあわなければならないのか」と話しておられた、というエピソードもありました。
その他様々な例を挙げ説明していただきましたが、ある国が「これはいい☆便利」と思ってやったことが、別の国ではひどい目に遭ってしまうと言うことがこれまでにもさまざまな形で行われていました。
「SDGs」はそういったことをなくし、「工夫しながら、みんなで幸せになろう」ということを提唱しているとも言えます。
みんなの幸せのための目標
「SDGs」の17の目標をあらためてじっくり見ると、環境問題だけではなく、貧困や差別、教育、ジェンダー、平和など、さまざまな角度からの目標が掲げられています。
「SDGs」のきっかけは環境問題からではありましたが、全体を通してみるとこの目標は、すべての人が幸せに生きるための目標のようにも見えてきます。
そして、今回のプロジェクトで「持続可能な部屋」はどんなお部屋かを考えるために、谷口先生よりこんなアドバイスがありました。
「17の目標とは、実は幸せに暮らせるお部屋と言うふうに解釈して考えていけば良いのではないでしょうか。
毎日笑顔で過ごせるとかずっと笑っていられるお部屋とかそういう感じで考えてみたらいいですよ。
環境問題などの細かい17の目標にとらわれる必要はないんじゃないかと思います。
『こんなお部屋だったら、お友達が来てくれる』とか、『ミニマムな生活ができる』とか『この部屋だったらこんなことができそう』とか、『毎日楽しく過ごせそう』とかそんな感じのお部屋を作るつもりでいいと思います。
何か自分の生活の中でこんな潤いがあったらいいなぁとかそんなふうに考えてみてはいかがでしょうか。」
授業の途中で、「どんなお部屋をイメージしていますか?」と聞いてみたときの学生さんの反応は、
「漠然としすぎてよくわからない」
「例えば環境に優しいお部屋にするとか?」
と言うイメージだったようでした。
谷口先生のアドバイスで少しイメージしやすくなったのではないでしょうか。
そして最後には、これまでお話された「SDGs」も含めてどのように課題に取り組めばいいのかといったお話もいただき、授業を終了いたしました。
何を優先すべきかを考え、いろいろな考えを取り入れていき実践⇒評価⇒改善⇒さらなるプランニングをくりかえしていくうちによりブラッシュアップされた企画が生まれてくることでしょう。
学生さん2名と賃貸のマサキよりスタッフ3名もSDGsの理解を深めることが出来ました!今後のリフォーム案も期待しています!
まとめ
今回は内見と、賃貸のマサキ天理店の店内でアイデアの参考になりそうな資料をじっくり研究しました。
実はこのテーマ、難しかったのではないか…と思ったのですが、今回の谷口先生のお話で、
「何もむずかしく考えることはない。幸せに暮らせるお部屋とは何だろうか」
ということを考えて行けば、何か答えが出てきそう…そんな風に思いました。
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